相関係数がそれぞれ0.6以上、-0.6以下の職業の構成比の合計で定期減少率との相関を見たものが下のグラフです。
A~Cの「管理的職業従事者」「専門的・技術的職業従事者」「事務従事者」の 所謂ホワイトカラー系、E・H~Kの「サービス職業従事者」「輸送・機械運転従事者」「建設・採掘従事者」「
運搬・清掃・包装等従事者」の所謂ブルーカラー系ですが、正の相関、負の相関がきれいに見られます。
今回のコロナによる定期輸送人員の減少幅の高低の要因は、「専門的・技術的職業従事者」を始めとしたホワイトカラーの構成比と「サービス職業従事者」を始めとしたブルーカラー系の職業の構成比のそれぞれの高低が影響を与えているようです。(当然と言えば、当然の、推測通りの結果です。)
<まとめ>
■推測通り、定期輸送人員の減少幅の大小は、ホワイトカラー系の職業の人が利用している割合の高低が大きく影響し
ている。東急、京王、小田急の減少幅の大きさは、この割合が高いことによる。
■一方で、関西の鉄道沿線の居住者は、関東に比べブル-カラー系の職業の割合がやや高く、仕事場に出向かないと
仕事が遂行できない人の割合が高く、減少幅が抑えられている。
首都圏の23区の大ターミナルに繋がる鉄道会社、こんな安泰の企業はないと思っておりましたが、突然のコロナ禍は、まさかの大きな痛手となりました。ワクチン接種が国民の6割まで到達すると感染も収まるようなことを聞いています。秋口には、かなり回復する可能性もあります。(ちょっとまだ先ですが・・・※オリンピックで何も再拡大がなければ良いですが・・・。)
テレワークの問題は、常時自宅でやっていると横の連帯感がなくなったり、会話の中でのアイデア・ヒント、アドバイスが少なくなる傾向があると思いますので、コロナ終息後には、電車を利用して勤務先への出勤する状態に徐々に戻るものと考えられます。
しかし、今回積極的にテレワークを取り入れた企業は、賃貸面積を縮小した企業も見られたり、経費削減と働き方改革のために適度にテレワークを取り入れる企業もかなり出てきそうなので、現在の定期輸送人員の減少幅分が、以前の輸送人員数に戻るということは、ほぼないものを思われます。
【鉄道会社今後の取り組み提案】
■ 沿線への企業・事業所、施設誘致の取り組み(東急の二子玉川への楽天誘致が見本)
■ 人口誘致策の沿線市区町村との連携&「沿線街並み感」を売るつもりでの不動産事業
(沿線への転入は、鉄道グループポイント30万ポイント提供など)
■ 沿線観光マネジメントの強化(発掘・育成、交通提供、エリア間・施設間の回遊性UP補助、プラン提案力)
■ 沿線外観光PRや隣接線との相互観光PRの強化
■ ホワイトカラー系職業に対するレンタルオフィスの提供、販売マンションのレンタルオフィスの附帯設置
(ホワイトカラーの多い沿線駅での設置)
エリアマーケティングを行う際、人口ボリューム、年代、世帯人員、住居形態、労働人口などをよく利用しますが、それに加え、その地域の性質や質を説明する際に、国勢調査の職業分類を把握することは、エリアマーケティングの展開に重要な示唆を与えてくれます。是非ご利用していただきたいと思います。
(使用可能事例:鉄道沿線、駅、道路、バス停、河、店舗、施設、不動産立地判定)
※ブルーカラー系の職業は、一般的にホワイトカラー系に比べ、自家用車や勤務先バスなどの電車以外で通勤する傾向あります。電車をよく利用するホワイトカラー系の構成比が高かった鉄道は、ブルーカラー系が通勤での電車利用率が低いため、余計に定期輸送人員の減少幅が数値上大きくなる可能性があります。
問い合わせ先 info9@tajima-m.com 田島まで
ご協力:ヒストリカルデザイン㈱ 田窪正則 氏
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